ここしばらく雨。
傘をさしながら自転車にのるのは、じつは今の家に引っ越してきてからがはじめてだということに、最近気がついた。
生まれ育ったところは、山の頂上みたいなところだったし、学校はすべて徒歩15分内だったから、雨の日に自転車に乗ること自体がなかったんだ。
結婚してからも、新居は山のほうだったから、自転車を購入せず、バスかタクシーで事足りていた。今の家に移ってから、ここは平地なので、自転車に乗るようになったし、駅まではすこし遠目で、バスだと信号でおそくなるので、少々の雨だったら傘をさして自転車にのるようになった。
それをするのが、はじめてだということにきづかないままのった雨の日は、さんざんで、ブレーキも曲がるときも、細い道の直進も、傘をもちつつ(肩にあずけつつ)両手でハンドルをもたないといけなかった。いまでも、それは両手でもたないとできない。
傘を肩にあづけて、赤信号でとまって車の往来をながめていると、傘がバラボラアンテナのようになって、車の振動がびりびり伝わってくるのがおもしろい。
普通の色つきの傘では、なかなか気がつかなかったことだけれど、半透明のビニール傘でもしっかりしたつくりで大きめの傘は、さしていると裏側から雫がたくさんついているのや、つーーっと流れていくのがよくみえておもしろい。透明すぎると、風景までみえてしまうから、雫に集中できない。半透明の大きなのがいい。
そんなのを眺めつつゆっくり自転車を走らせる。
時折強い風がふくときは、メアリーポピンズのように風に傘をもっていかれそうになるから、あわてて両手でハンドルをもつ。折りたたみの小さい傘のときだと、すぐおちょこになってしまうから、傘を閉じてさっさと駅に向かう。
雨の日にみられるのは、自動車のタイヤの跳ね上げる水しぶき。
横からよりも、真後ろからみるのがおもしろい。
とても綺麗で、機会があったら、是非に写真に撮ってみたいところだけれど、濡らすのはいやだから、なかなか実行できない。
雨の日だけにみられる、アスファルトの模様。
車のよくとおるところや、ならしむらのあるところ、マンホールのあるところなどはすこしくぼんでいて、晴れの日にはみえないふしぎな模様がみえる。その模様のところどころには、電線がうつりこんでいたり、雨粒の波紋がひろがっていたりして、それも素敵。
水溜りにも深いところと浅いところがあって、水しぶきの跳ね上がり方がすこしちがう。
浅いところは、すっと溶け込んでしまって、水紋だけが静かにひろがっていく。
すこし深いところでは、ぽちょんと飛び上がる飛沫もみえて、びっくりマーク!みたいにみえる。
そして、たまに空気をはらんで、がちゃがちゃの半分みたいに透明なまるいあぶくがゆらりとうかんで、またびっくりマークをのこしてぱちんと弾ける。
水紋のあらわれかたは、もちろんランダムなんだけれど、それこそ濡れなければいつまでもみいってしまうほどに自由で配列がうつくしい。そこに落ちることがさだめられたように、美しい調和を保ちつつ水に加わる。
手すりなどに落ちる雫は、ぴちっと3方・4方にわかれて跳ねるのもおもしろい。
つるつるっとしずくが集まって流れていく線もおもしろい。
車や電車に乗ったときに、雫が風にあおられて、よろよろとおもしろい線を描きながら動いていくのを眺めているのもたのしい。
丁度、絵の具をたらして、ストローで吹くのをやったことがあるけれど、そのランダムさにもかなわないくらいに、すてきな模様をつくりあげていく。
そんなのを眺めつつ、雨の日は過ごしている。
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